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本書は「人生100年時代」の論拠になっている、世界的に著名な書籍を和訳したものである。以下では、特に印象的だった記述を抜粋し、所感を述べたい。

 

     2007年に日本で生まれた子どもの50%107歳まで生きる。

     平均寿命は1年で平均3ヶ月のペースで上昇している。

日本人男性の平均寿命は女性よりも約6歳短く、独身者は既婚者よりも約8歳寿命が短いらしいので、僕は90歳近くまで生きると思われる。正直なところ、現実感はまるで無いが・・・。

 

     年金制度の設計など、経済分野で平均寿命の推計を行う場合、平均余命が今と変わらないと仮定する場合が多い。

だから公的年金は給付水準の下落に歯止めがかからず、企業年金は現役世代の負担が増す一方なのか・・・。年金だけで生活水準を維持することが困難になるのは間違いない。今のうちから投資などでお金を増やす努力をしないといけない。

 

     雇われて働くのではなく、次々と多くの顧客から依頼を受けて生計を立てる人が増えていくだろう。

日本では「本業が疎かになる」といった尤もらしい理由で、副業を原則禁止にしている会社がまだまだ多いと思われるが、GDPや国際競争力を高める手段として、副業の解禁は有効だと思う。異業種の交流が進むことでイノベーションが生まれやすくなる効果も期待できるだろう。

 

     コンピュータの処理能力が高まるほど、高スキルの労働者も職を奪われ始める。1020年の間に、アメリカの雇用の47%が消失する恐れがある。

     他方、ロボットが労働力人口の縮小を補い、経済生産と生産性と生活水準を保ってくれるという見方もできる。

僕は後者の考えを支持する。日本を含む先進諸国は人不足が問題視されており、企業規模を維持又は拡大するために、AIやロボットの導入は進んでいくと予想される。しかし人の仕事を代替できるほど優れたAIやロボットが普及するには、大企業であっても相当な時間を要するだろう。将来について考える余力が無い人も多いだろうが、「これからの時代、人に求められる知識や教養は何か」を考え、それらの習得に動き出すことが、職を失わないために必要と考えられる。

 

     精神の健康と幸福感を維持し、活力資産の形成に役立つのは、前向きな親しい友人たちのネットワークだ。

     見方が変わるきっかけになるのは、それまでよりも広く多様性に富んだ人的ネットワークに触れることだ。

     人生の最大のイベントは出産と子育てだったが、長寿命化により、人生の中で子育てに費やされない期間が長くなると、友達付き合いが生活の中心になる時期が新たに出現するかもしれない。

僕には旧知の友がいない。学生時代に雑談を交わす程度の友達はいたが、プライベートで親交を深め合った友達はおらず、卒業後は疎遠になり、今ではお互いに住所も連絡先も分からない。親しい友達がいなくても特に不都合を感じることなく暮らせてしまっている。しかし親兄弟に先立たれ、仕事も引退してしまうと、話し相手が誰もいない毎日が続くことになり、一気にボケが進行しそうで恐ろしい。いざ友達が欲しいと思っても、長らく友達付き合いをしてこなかったため、改めて友達をつくれる自信は全く無い。友達付き合いのスキルを磨いてこなかったことを後悔する時が来そうな予感はある。

 

     余暇の時間に、自費で研修を受講して新しいスキルを習得し、転職を果たす。

     無形の資産を増やすことに特化しようとすれば、金銭的資産の構築に集中する時期の労働はますます過酷になる。

     旧来のキャリアの道筋から外れて自分のビジネスを始めるには、高い能力を築き、上手にそれを見せ、宣伝することが不可欠となる。

     高スキルの職に就き続けたいならば、スキルとテクノロジーへの投資を継続する必要がある。

     高スキルの職は、常に長時間の過酷な労働が要求される。

僕は安定志向が非常に強く、できるだけ今の職場で長く働きたいと思っているが、その考え方が間違っているとは思わない。本書ではキャリアアップを目的とした転職を想定しているが、実際のところ、転職によって収入が増えることは稀と聞く。収入よりも遣り甲斐を求めるということは、厳しい言い方をすると、家庭よりも自己満足を重視することにならないだろうか。同じ職種で非正規雇用者が正規雇用を目指すというなら話は分かるが、異分野へのチャレンジは、独身や子供がいない共働き夫婦、介護を必要とする家族がいない等、生活にゆとりがなければ、なかなか難しいと思う。

本書では、生活と自己投資の資金を稼ぐためにがむしゃらに働く期間と、有用なスキルを習得するためにみっちり研修を受ける期間を、交互に繰り返すライフスタイルを提唱しているが、1020代ならばともかく、育児との両立が必要となる3040代や、体力の衰えと向き合いつつ介護にも取り組まなければならない50代以降に、そのようなライフスタイルを実践できるのか、甚だ疑問に感じる。心身に変調を来すリスクを承知の上で過酷な労働に耐えるよりは、多少収入が落ちたとしても低ストレスで健康的な生活を、僕は望む。

 

     ベテランになってから、昔よりも低い役職に下る。若い人たちをコーチングしたり、ロールモデルになったりすることで、会社に貢献する。

ベテラン社員がシニアエキスパートとして若手社員の指導に当たることは特段珍しいことではないと思う。一度は引退した社員が経験を買われて職場復帰するケースも実際よく目にする。転職の繰り返しを当然かつ正当と捉えている、欧米人(著者)にとっては、目新しいことなのだろうか?

 

     45歳のときに、フルタイムの仕事を辞め、やりがいを感じられる活動をたくさん実践する。海外を放浪したり、本当にやりたい事業に挑戦したりする。

     フルタイムの職に就いているうちに、社外の、様々な分野の人達と交流し、業種を移っても活用できて評価されやすいスキルと評判を身につけなければならない。

フルタイムで働きながら、先の転職を見据えて、意欲的に異業種交流できる経済的・時間的余裕を持つ人が、一体どれだけいるだろうか?仕事を辞めることは退路を断つことに等しい。特に子供を持つ人は思いとどまるべきだ。激減した収入を子供の教育費を減額して埋め合わせるようなことは、決してあってはならない。45歳にもなって、海外を放浪するなんて、言語道断だ。振り回される子供が可哀そうだ。

 

     1920年のアメリカ人男性の週平均労働時間は50時間だったが、2005年には37時間まで減っている。経済が豊かになれば、労働時間は更に減り、余暇時間は増えていくと予想される。余暇時間をどのように使うかが課題になる。

日本は世界的に見ても労働時間が長い。言い換えると減らせる余地は大きいのだが、生産性の低さを長時間労働でカバーしてきた歴史があり、世界水準に追い付くのは容易ではない。余暇時間が比較的短いため、多様なスキル・経験を持つ人材は生まれにくい環境にある。ただし今の日本で欧米諸国並の余暇時間が確保できたとしても、それを自分への投資に使う人は、あまりいないのではないかと思う。「世界で戦えなければ日本の将来は暗い」と本気で懸念し、危機感を抱いて自分磨きに邁進する人は、ほんの一握りだろう。日本には一億人を超える人口があり、長らく内需だけでも糊口を凌げる状況が続いてきた。だが、そう遠くない未来、人口は確実に1億人を割る。価値観を変えていくためには、労働改革よりも教育改革が必要だと考える。

 

     現状では、育児休暇などでキャリアを中断したり、在宅勤務など時間的に柔軟な働き方を選択したり、仕事をしない期間を設けたりすると、高出世・高所得が得られにくくなる。柔軟な働き方を求める個人のニーズが高まれば、全員を同じスケジュールで長時間働かせたい企業のニーズとの間で激しい衝突が起きるだろう。

柔軟な働き方を求める個人のニーズは高まるだろうが、そのような人達が出世レースから外れてしまう状況は変わらないと思う。なぜなら、労働時間が増えるほど挑戦する機会も増え、評価を受けやすくなるからだ。また長時間労働を厭わない姿勢は、企業への帰属意識が高く、愛社精神に溢れていると見做されるからだ。それに、生産効率を考えると、全員を同じスケジュールで働かせることが、理に適っている業種は多い。柔軟な働き方を認める企業に人気は集まるかもしれないが、その企業が成長できるかどうかは、別の問題だろう。

 

     パートナーを得ることで、何らかの理由で一方の所得が途絶えた時、他方が経済的に支えることができる。結婚によるリスク分散は、二人の稼ぐ力が近い方がうまくいく。

     男女の賃金格差が完全になくなるのは、2085年以降になると予測されている。

同等の経済力を持つパートナーの方が対等な関係を結びやすいというのは同意できる。筆者が提唱する働き方は、高収入のパートナーがいて、なおかつパートナーが挑戦を許容し、社会がその挑戦を評価しなければ、成立しないと思われる。果たして僕が働いている間に、そのような時代がやって来るのだろうか?

 

     テクノロジーのイノベーションと長寿化の進行により、教育産業のニーズは一層高まる。多様化するニーズに応えられない既存勢力は劣勢に立たされ、やがて新興勢力に取って代わられるだろう。

 これは全くその通りだと思う。特に高齢者向けの教育産業は成長が見込まれる。株式投資先に選んでも面白そうだ。ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村 あるロリコンの小部屋(別館) - にほんブログ村

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