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前回記事 → 僕のライフマネープラン
コロナ不況により不動産会社も売上が前年度比で数割ダウンしているらしい。不動産投資会社から、「次の条件を付けるから、3室目のワンルームマンションを買わないか?」と、改めてセールスを受けた。
①不動産購入にかかる初期費用は全額キャッシュバックする。
②不動産取得税は全額キャッシュバックする。
③空室時の家賃は35年間100%補償する。ただし家賃改定は2年毎に行う。
上記特典を踏まえ、これまでの実績と個人的に収集した情報に基づき、運用益をざっくり試算してみた。
1年目・・・3万円の赤字
家賃収入-住宅ローン-管理費=-3万円
2年目・・・10万円の黒字
固定資産税・都市計画税=-7万円 所得税還付+地方税減税=20万円 家賃収入-住宅ローン-管理費=-3万円
3~9年目・・・2年目同様 毎年10万円の黒字 7年間で70万円の黒字
10年目・・・室内設備更新 35万円の赤字
固定資産税・都市計画税=-6万円 所得税還付+地方税減税=20万円 家賃収入(10%減額)-住宅ローン-管理費=-9万円 室内設備更新=-40万円
11年目・・・2年目同様、毎年10万円の黒字
12年目・・・家賃10%減額 4万円の利益
固定資産税・都市計画税=-7万円 所得税還付+地方税減税=20万円 家賃収入(10%減額)-住宅ローン-管理費=-9万円
13~19年目・・・12年目同様、毎年4万円の利益 7年間で28万円の黒字
20年目・・・65万円の赤字
固定資産税・都市計画税=-6万円 所得税還付+地方税減税=20万円 家賃収入(10%減額)-住宅ローン-管理費=-9万円 室内設備の更新=-40万円 専有部配管更新=-30万円
21年目・・・1万円の赤字
固定資産税・都市計画税=-6万円 所得税還付+地方税減税=20万円 家賃収入(20%減額)-住宅ローン-管理費=-15万円
このケースだと、20年目以降は赤字運用になるため、19年目までに不動産を売却することが望ましい。19年目まで運用した場合、総額84万円の黒字となる。ローン残債と不動産売却価格が共に800万円とし、売却時の手数料は以下の通り概算した。
①仲介手数料 (800万円×3%+6万円)×消費税10%=33万円
②印紙税 5千円
③不動産登記費用 1~2万円
④ローン返済手数料 2万円
⑤不動産売却益にかかる税金 0円
計37万円ほどとなる。つまり19年間の運用で47万円の利益となる。
第一のリスクは家賃の減額だと思う。不動産投資会社は、「空室が発生した場合、まずは1~3ヶ月ほど家賃ゼロ円キャンペーンを行い、なるべく家賃は減額しないようにするし、減額したとしても5%ほどに留める」と回答したが、申し訳ないが、信用できなかった。10~15年後に家賃が10%程度減額する可能性は大いにあると、僕は思う。ただ、家賃が10%減額したとしても、設備更新などの追加費用が発生しなければ、年間では黒字を維持できる。
第二のリスクは不動産売却価格がいくらになるか読めない点だ。不動産投資会社も、「20年先の不動産価格は予想できない。売却損が出るなら売らずに運用すればいいだけ」と回答したが、ワンルーム投資は節税効果を加味しないと黒字化は難しい。僕は55~60歳での早期退職を目指している。投資用不動産を20年以上所有するつもりはないため、少々の売却損が出たとしても売却すると思う。仮にローン残債が不動産売却額を50万円上回れば、19年間で3万円の赤字となる。
第三のリスクは年収の減少だ。以上のシミュレーションは、年収が現在の水準で維持されることが前提を前提としている。降格はまず無いとしても、関連会社に転籍して賃金が下がる可能性はゼロではない。また健康問題や親の介護のため、フルタイムで働けなくなり、年収が下がる可能性もある。
不動産投資会社は、空室時の家賃補償100%を特にアピールしていたが、家賃ゼロ円キャンペーンなどで居住者を募集したとすると、空室期間は数カ月程度で済むと予想され、また空室が発生したら次の家賃改定で家賃を減額することになるだろうから、実質3~5万円ほどの効果しかないと思う。家賃100%補償は、20年目以降も不動産所有を続ける場合には有効と思われるが、早期売却を念頭に置いている場合には、あまり魅力的な提案ではないと思う。
なお、既に購入したワンルームでは、不動産購入時初期費用と不動産取得税を、1室あたり25万円ほど負担している。空室による家賃収入減額を5万円と仮定すると、19年間の運用で17万円の利益となる。
不動産投資は、少ない手元資金で始められる利点があり、株式投資に比べれば低リスクと思われるが、税金や諸経費を差し引くと、期待通りに運用できたとしても利益は大きくなく、投資妙味に欠けると思う。
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