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【本書の要約】
 親からの仕送り額は10年前と比べて40万円下がり、大学生が家賃以外で自由に使えるお金は1日900円以下となった。バイトをしないと生計を立てられない、それどころか学費すら払えない学生が増えてきている。学費を払えない⇒バイトで長時間働く⇒勉強時間を確保できず単位を落とすという本末転倒な状況に陥っている学生が少なくない。学費を稼ぐために性風俗産業で働く女学生も珍しくない。
 就職後は低賃金で働きながら奨学金という名のローン返済に追われる。賃貸の契約更新料や火災保険料(いずれも数万円)を工面できず、追い出されて住宅難民になる若者もいる。苛烈な労働環境により心身に変調をきたし働けなくなる若者も多い。
 今の日本は若者に対する就労支援・住居支援・給付支援がいずれも不足している。若年貧困層の増大と出生率の低下は無関係ではないだろう。日本政府は若者支援のための財政予算拡充を行うべきである。

【感想】
 自分で学費を稼ぐ、いわゆる苦学生を、自分の近辺では見たことがなかったため、貧困にあえぐ若者が増えているという記述には驚いた。僕は学生時代にバイトをした経験がほとんどない。親から十分な仕送りがあり、生活に困窮することはなかった。子供が自立するまで親が生活費を負担するのは、僕の感覚では当たり前だが、その当たり前のことができない親が増えているということだろう。親世代の貧富の差が子供の世代に伝播している状況が窺える。
 若年貧困層を救済するための財政予算をいかに確保するかが最大の課題であるが、一般家庭や高所得者の税負担を増やすことには手放しで賛同できない。根本原因は貧富の差の拡大にあると思うが、個人的には貧富の差はあって然るべきだと考えている。市場経済は勝者と敗者が生まれるものである。勝敗があるからこそ労働のモチベーションが高まる。勝者が報わるのは当然であり、報われない社会はおかしいと思っている。
 貧富の差を埋めるべく一般家庭や高所得者の税負担を増やして全体の予算を増やすのではなく、税金の使途を見直し効率的に運用することを検討するべきだと思う。省庁の枠組みを越えた予算配分の見直しが理想的だが、これには若年貧困層の問題解決を公約の第一に掲げる政治家が、政府与党内で予算決定に影響力を行使できるほどの高い地位を築かないと難しく、現実的ではないと思う。
 働けなくなった若者の穴を、まだ働ける高齢者が埋めている状況は、僕が勤めている会社でも見られる。就職してから5年以内に休職・退職する正規労働者(非正規ではない!)が、ここ10年で急増し、技術や技能の伝承がまともにできていない状況にある。今年、ようやく労使間で課題解決に向けた協議を行うことになった。具体的にどのような対策を実施するのか、期待して、協議の推移を見守りたいと考えている。ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村 あるロリコンの小部屋(別館) - にほんブログ村

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