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三菱自動車の燃費試験用データの不正が話題になっている。昨年は東芝の不正会計が明らかとなったが、個人的には株主を欺いた東芝よりも、日本のものづくりの信頼を貶めた三菱自動車の方が重罪だと思う。報道によると約25年前から不正を続けていたとのこと。25年間続いた不正の伝統・文化が簡単に改まるとは思えない。淘汰されて然るべき会社だと思う。三菱グループ各社が救済に動くかが焦点となっているが、温情をかけて存続させるべきではない。経営陣の厳しい決断に期待したい。
僕が勤めている会社では、開発陣に対する期待値が非常に大きい。開発は思うようにいかないことの方が多い。これは開発担当者の常識だが、経営者(管理者含む)は開発の成功を前提にした経営計画を組みたがる。そして開発というものを甘く考えている節がある。開発期間の短縮や目標値の上方修正を、さも当然のように迫る。技術的根拠は何もないのに、ノーとは言わせない。無理やり決めさせられた開発計画だから、遅延や未達は当たり前の話だが、「言い訳するな」と叱責する。隔週開催の開発進捗報告会は、経営者による担当者の一方的な殺戮ショーである。担当者は自らの技術者としての尊厳を守るため、開発に一層没頭することとなる。体調を崩して転職・退職する担当者は後を絶たない。
恐らく三菱自動車では、開発陣に対するプレッシャーが度を過ぎていたのでないかと思う。データの不正は技術者の尊厳を自ら犯すことに他ならない。よって担当者が不正に手を染めることは通常有り得ない。三菱自動車がやったことを擁護するつもりは毛頭ないのだが、肉体的精神的に疲弊した担当者が、技術者倫理を失い、正常な思考ができなくなって、データの不正に走ったのだとすると、僕は担当者に対して同情を禁じ得ない。